むし歯を放置すると
どうなるか?
むし歯で痛みを感じたものの、忙しさや不安から歯科医院を受診することをためらう人もいます。しかし、むし歯は自然治癒しない病気のため、放置するとますます悪化し、痛みも強くなります。
最終的に痛みに耐えかねて受診する人も少なくありません。この段階であれば、根管治療によって歯を残せる可能性がありますが、放置すると痛みはなくなり、歯が溶けて根っこだけになる「C4」と呼ばれる段階に至ります。
ここまで進行すると歯を残すことができず、抜歯を余儀なくされます。また、むし歯菌が顎の骨に侵入し、「骨髄炎」を引き起こし、口臭がひどくなったり顎や顔に膿がたまったりといった重篤な症状を引き起こす可能性も否定できません。
早めに治療を開始すれば通院や治療費の負担を抑えることができるので、なるべく早く当院までご相談ください。
むし歯治療のこだわり
なるべく削らない治療
当院のむし歯治療は、なるべく削らない治療を重視しています。う蝕検知液(むし歯検知液)を使用し、染色された部分を削り取る方法を採用しています。この方法により、患者さんの歯を最小限に削ることができます。
さらに、当院では神経を残したままむし歯を治療するために、セメントと呼ばれる特殊な薬剤を使用しています。これにより、神経を保護しながら効果的にむし歯を治療することができます。
神経をなるべく取らない
むし歯が神経に到達した場合、通常は神経の除去が必要とされます。しかし、症状や状態によっては神経を残すことが可能な場合もあります。当院では、なるべく神経を取らない方針で治療計画をご提案しています。
麻酔の痛みの軽減
局所麻酔をする前に表面麻酔を行うことで、麻酔時の痛みを軽減することができます。この方法により、患者さんの不安を和らげ、より安心して治療を受けていただくことができます。
表面麻酔は、麻酔薬を歯茎や周囲の組織に塗布することで、治療時の針の刺入に伴う痛みを軽減します。これにより、麻酔注射時の不快感や痛みを最小限に抑えることができます。
拡大鏡の使用
治療には拡大鏡を使用しています。拡大鏡を使うことで、治療箇所をより詳細に確認することができます。これにより、歯との間にすき間を作らない補綴治療や歯を削る量を最小限にする治療が可能になります。拡大鏡は、口の中の細かい部分や微細な組織を拡大して見ることができるため、より正確な診断や治療計画のご提案が可能になります。また、治療中も拡大鏡を使用することで、より高い精度で治療を行うことができます。
むし歯の進行状態と治療
初期むし歯(C1)
初期段階であるC1のむし歯は、小さな黒ずみができ、痛みはありませんが、冷たいものがしみる場合があります。感染部分を削り、歯科用プラスチックなどの白い詰め物で歯質を補います。
象牙質まで進んだむし歯(C2)
象牙質まで進行した状態です。冷たい食べ物や飲み物で痛みを感じ、歯の神経に近づくと温かいものでも痛みが出ます。感染部分を削り、金属やセラミックの詰め物・被せ物で歯質を補います。
神経に達したむし歯(C3)
歯の神経に達したむし歯です。何もしていなくても痛みが出て、頬が赤く腫れることがあります。神経を洗浄する根管治療を行い、被せ物による治療を行います。保存が難しい場合は抜歯します。
歯根だけ残ったむし歯(C4)
歯ぐきから出ている部分の歯の大部分が崩壊し、歯の根だけが残った状態です。神経が壊死しているため痛みはなくなりますが治ったわけではありません。放置すると歯根の先に膿がたまり、再び痛み出す恐れがあります。
治療ができないため、抜歯して入れ歯やブリッジ、インプラントなどで失った歯の機能を回復させます。
大人と子どものむし歯の特徴
大人のむし歯の特徴
大人のむし歯は、進行しても痛みを感じにくいうえに、忙しいことを理由に放置してしまうことが多く、治療後に再発しやすいという特徴があります。成人の90%が何らかのむし歯を抱えているといわれているため、定期的な検診やむし歯の予防が必要です。
大人のむし歯の種類
磨き残しによるむし歯
むし歯の原因は複数ありますが、中でも磨き残しによるむし歯が多くを占めます。歯磨き不足により歯垢(プラーク)が溜まり、細菌が増殖しやすくなります。実際に、平均で約60%の歯垢が残ると言われており、歯磨きが上手い方でも40%の歯垢が残るといわれているのです。
特に、歯と歯の隙間や歯と歯肉の境目、歯の裏側などは歯ブラシが届きにくく、歯垢が残りやすい部位です。このような状況を改善するためには、自分に合ったブラッシング方法を歯科医院で学び、ご自身でのケアで取りきれなかった歯垢・歯石を歯科医院で除去してもらうことが重要です。
定期的な歯科検診と歯石除去は、むし歯や歯周病の予防に効果的です。歯科医院での専門的なケアとご自宅でのケアの両方を組み合わせることで、口腔の健康を維持し、むし歯のリスクを最小限に抑えることができます。
根元のむし歯
根元のむし歯は、歯の根の部分に発生するむし歯のことです。通常、歯の根元は歯肉で覆われており、歯ブラシの届きにくい場所です。そのため、歯垢や食べ物のかすが根元に溜まりやすく、細菌の増殖や酸の生成が起こりやすい環境となります。また、根本のむし歯は進行すると歯肉の炎症や感染が引き起こされ、歯周病のリスクも高まります。
二次むし歯
一度治療した歯でも、詰め物や被せ物の劣化によって隙間が生じ、そこにむし歯菌が侵入することで二次むし歯が発生することがあります。治療を繰り返すことで、歯質が失われていき、最悪の場合は歯を失うことになります。二次むし歯のリスクを抑えるために、耐久性が高くむし歯になりづらい詰め物や被せ物を使用し、定期的なメンテナンスを欠かさないことが大切です。
子どものむし歯の特徴
子どもの歯は大人の歯よりもやわらかく、表面に小さな穴がたくさん開いているため、むし歯になりやすいうえに早く進行します。また、乳歯を早期に失うと、永久歯のむし歯のリスクが高まる、永久歯が正しく生えてこない、顎・体の成長に問題が生じる、顎が変形するなどのトラブルにつながります。
小さい頃から定期的なメインテナンスと日々のセルフケアを習慣づけることが大切です。当院では、お子様と親御さんと連携し、歯の健康を守るサポートをしていますので、まずはお気軽にご相談ください。